AWS Media Servicesの2024年を振り返ってみる
はじめに
清水です。2024年もあとわずかとなりました。ここ数年、大晦日のこのタイミングでAWS Media Servicesにまつわる1年間のアップデートを振り返るブログエントリをまとめてきました。私の中で年末の恒例行事となりつつあるので、今年も例年にもれずまとめてみたいと思います!
昨年2023年までは、What's New at AWSにポストされたアップデート内容のうち、AWS Media Servicesにカテゴライズされる各サービスごとにアップデート内容をまとめていました。今年2024年は少し趣を変えて?みます。(このほうがまとめやすかった、というのが正直なところですが。)What's New at AWSにポストされたアップデート内容を扱う点は同じですが、まずAWS Media ServicesのページのContent CreationカテゴリとContent Distributionカテゴリに大別します。その中でもContent Distributionカテゴリについては、全般と各サービスごとのアップデート内容をまとめてみました。Content Creationについては各サービスごとにまとめず、Content Creationという1つのカテゴリでまとめています。
過去のエントリ(2023年〜2018年の振り返り)については以下をご参照ください。
- AWS Media Servicesの2023年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2022年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2021年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2020年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2019年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみる | DevelopersIO
Content Distribution
まずはContent Distributionのカテゴリです。大まかにいえばAWS Elementalの各サービスのほか、Amazon Interactive Video Service (IVS)などが含まれます。
Content Distribution全般
- AWS Media Services向けWorkflow monitorをリリース
- AWS Elemental Media ServicesでライブAV1エンコーディングをサポート
- ライブストリーミング向けのメディア品質を考慮したレジリエンスを発表
まずはContent Distribution全般に関するWhat's New at AWSのアップデート内容です。複数のサービスにまたがるアップデートをこの「Connect Distribution全般」で扱います。合計3件のアップデートがありました。特にMedia Quality-Aware Resiliencyについては、MediaLive、MediaPackage、そしてCloudFrontのそれぞれに追加された新機能が連携して動作します。AWSならではの機能強化ではないでしょうか。Workflow monitorについてはも、S3やCloudFrontを含めた各サービスを横断してモニタリングできます、これもAWSだからこそできる機能であり、強力ですよね。
AWS Elemental MediaConnect
- 新しいCloudWatchメトリクスが追加されました
- Source streamのモニタリングをサポートしました
- 個別の出力停止機能をサポートしました
- 入力サムネイル画像をサポートしました
- MediaConnect Gatewayでソース固有のマルチキャストをサポートしました
MediaConnectのアップデートは5件でした。Content Distribution全般でモニタリング機能が強化されていましたが、MediaConnect単体でもモニタリングまわりが強化されていますね。また個別の出力停止機能も強力です。2023年に発表されたMediaConnect Gatewayのアップデートもありました。
AWS Elemental MediaConvert
- 中東(UAE)リージョンで利用可能になりました
- AWS Step Functionとの統合が最適化されました
- オンデマンド料金のボリュームディスカウント価格を発表しました
MediaConvertでは3件のアップデートがありました。質的なAWS値下げとなる、オンデマンド料金のボリュームディスカウントは嬉しいですよね。ほかAWS Elementalサービスでも同様の内容でのボリュームディスカウントのアップデートを期待したいところです。また利用可能リージョンの追加など着実にアップデートがなされています。
AWS Elemental MediaLive
- アジアパシフィック(メルボルン)リージョンで利用可能になりました
- アジアパシフィック(ハイデラバード)リージョンで利用可能になりました
- 中東(UAE)リージョンで利用可能になりました
- CMAF Ingest output groupをサポートしました
- SRT caller inputをサポートしました
- 独自のハードウェアでライブビデオエンコーディングを実現するAWS Elemental MediaLive Anywhereを発表しました
- Bandwidth reduction filterをサポートしました
MediaLiveのアップデートは7件でした。3つの利用可能なリージョンが新たに追加されています。またInputとOutputの双方でサポートが強化されていますね。そしてオンプレミスでMediaLiveが動く!MediaLive Anywhereのリリースは衝撃的でした。
AWS Elemental MediaPackage
- Cross-regionフェイルオーバーが利用可能になりました
- 中東(UAE)リージョンならびにアジアパシフィック(ハイデラバード)リージョンで利用可能になりました
MediaPakcageのアップデートは2件です。数こそ少ないものの、MediaLiveやCloudFrontとの機能連携によるCross-regionフェイルオーバーについては、今年のAWS Medie Services全体でみても大きなアップデートだったかと思います。
AWS Elemental MediaTailor
- Channel Assemblyでプログラムルールがサポートされました
- アジアパシフィック(ハイデラバード)および中東(UAE)リージョンで利用可能になりました
- VODストリームのHLS Interstitialsをサポートしました
- 動的な広告トランスコーディングでCMAFをサポート
MediaTailorのアップデートは4件でした。AD insertionとChannel assemblyそれぞれでしっかりと機能強化がなされていますね。
Amazon Interactive Video Service
- Low-Latency Streamingでaudio-onlyの料金体系がアナウンスされました
- Low-Latency StreamingでPlayback restriction policiesをサポートしました
- Low-Latency StreamingでSRT ingestをサポートしました
- Real-Time Streamingで個々の参加者の録画ができるようになりました
- Real-Time Streaminigで最大25,000人の視聴者をサポートしました
- Real-Time StreamingでRTMP ingestをサポートしました
- Low-Latency Streamingで入力コストの節約のためのMultitrck Videoがサポートされました
- Real-Time Streamingでサムネイル録画をサポートしました
Amazon IVSでは8件のアップデートがありました。2023年からLow-Latency StreamingとReal-Time Streamingの2本立てとなったAmazon IVS、Real-Time Streamingはその性質上、Low-Latency Streamingと比べるとどうしても最大同時視聴社数の上限が制限されてしまいます。それでも、最大同時25,000サポートの発表をするなど、ビッグなアップデートがありました。また両機能でingest方式のサポートが広がっていますね。
Amazon CloudFront
- リアルタイムログでCommon Media Client Data (CMCD)フィールドをサポートしました
Content Distributionカテゴリの最後に、CloudFrontのアップデートを1件取り上げます。CloudFront、厳密にはWhat's New at AWSのNetworking & Contet Deliveryにカテゴライズされますが、Media Services機能ということでこちらのアップデートが紹介されていました。Common Media Server Data (CMSD)はMedia Quality-Aware Resiliencyで使用されていますが、Client側のデータ、Common Media Client Data (CMCD)についてもCloudFrontで扱うことができるようになっています。
Content Distributionカテゴリで終了が予告されたサービス
Content Disbributionカテゴリでは合計33個のアップデートがありました。しかし、2024年は終了が予告されたサービスもあります。AWS Elemental MediaStoreとAmazon Elastic Transcoderの2つですね。サービス終了はどちらも2025年11月となります。
どちらも後継となるサービス、機能が提供されており、またここ数年はアップデートもありませんでした。残念ながら役目を追え、来年2025年の11月にサービス終了となりますが、移行などの対応をしっかりと行いましょう。
- [終了予告] AWS Elemental MediaStoreが2025年11月にサービス終了することがアナウンスされました | DevelopersIO
- [終了予告] Amazon Elastic Transcoderが2025年11月にサービス終了することがアナウンスされました | DevelopersIO
Content Creation
- ポータブルレンダリングジョブを記述するためのOpen Job Description仕様を GitHubで公開しました
- Open Job Descriptionのライブラリとツールが発表されました
- AWS Deadline Cloudを発表
- Announcing AWS Deadline Cloud
- 2024/04/02
- AWS Deadline CloudでAutodesk 3ds Maxの使用量に応じたライセンシングをサポートしました
- AWS Deadline Cloudでサポート管理フリートでWindows Server 2022をサポートしました
- AWS Deadline Cloudでステップ、タスク、ワーカーのソートフィールドが追加されました
- AWS Deadline Cloudでジョブの再送信をサポートしました
- AWS Thinkbox Deadline 10.4のリリースを発表
- AWS Deadline Cloudでジョブ、ステップ、タスク関連のイベントを送信するようになりました
- AWS Deadline Cloudで予算関連のイベントが追加されました
- AWS Deadline Cloud に予算関連のイベントが追加されました - AWS
- 2024/10/30
- AWS Deadline CloudでGPUアクセラレーションEC2インスタンスタイプをサポートしました
Content Creation向けのサービスでは、合計11件のアップデートがありました。その中でも大きいのは、4月のAWS Deadline Cloudのリリースではないでしょうか。これまでのAWS Thinkbox Deadlineが、よりCloudらしく使えるよう機能強化され新サービスとしてリリースされた、という印象です。このAWS Deadline Cloud関連のアップデートが多くありました。
ただ、このようなDeadline Cloudという大きなアップデートがあった反面、2021年にリリースされたAmazon Nimble Studioについてはその役目を追え、勇退するかたちとなりました。
まとめ
What's New at AWS – Cloud Innovation & NewsのMedia Servicesカテゴリにポストされた内容をベースに、2024年のAWS Media Servicesのアップデート情報をまとめてみました。独自集計となりますが、合計44個のアップデート情報が確認できました。なお2023年は合計55件、2022年は25個のアップデートでした。2023年と比べるとアップデートの個数自体は少なくなっていますが、例えばWorkflow monitorやMedia Quality-Aware Resiliency、Cross-region failover、AWS Deadline Cloudの発表など、大きなアップデートが多かったという印象です。
また、これはMedia Servicesに限らずAWS全般ですが、サービスの終了が予告されたことが印象的でした。本エントリで扱っているMedia Servicesでも3つのサービスが終了ないし終了予定となっています。
さて、来年2025年はどんなアップデートがあるのでしょうか!わくわくしつつ、来年もしっかりとアップデート情報をキャッチアップしていきたいなと思いました。